それで、昔のことを思い出した。村で祝言があった時など、出席した父が、夜になって引出物や料理の残りを持ち帰るのを楽しみに待っていたことがあった。いつも夕食の後のことだったが、座敷の真ん中の一灯だけの電球の下で私たち姉弟は皆で等分して食べたものだった。饅頭だとか、きんとんだとか、鯛形の菓子だとか、昆布だとかは等分することが難しかったので、だいたいの目分量で一番上の姉が分けてくれた。では、蒲鉾だとか羊羹だとかはどうしたか。姉が、定規を持ってきて長さを測って等分に切ってくれた。中でも、蒲鉾というものの味は口に入れるとコリコリとして特別に美味いと思いながら食べていたものだ。ところで、いくら定規を使ったとはいえ、どうしても本当の等分というのは難しく、目で見ればどうしても大きめなのや小さめなのができてしまうものだ。見ていた母はいつも、私が一番年下だったからだろう、私に一番最初に取るように言い、誰もそのことには反対がないようだったし、私もその特権をためらいなくすぐに使っていたものだ。